ルールのないゲームは、ゲームではなく混乱だ。15世紀から続いてきたゴルフが真に「スポーツ」として体系化されたのは、1744年のエジンバラにおいてであった。この年に制定された13箇条のルールは、現代ゴルフの精神的な礎となり、その後のすべての規則集の出発点となった。
エジンバラ・ゴルファーズ協会と最初のルール
1744年3月、エジンバラのゴルファーたちは市当局に対して一つの請願を行った。リース・リンクスで競技を開催するにあたり、シルバーカップ(銀杯)を賞品として提供してほしいというものだった。市当局はこれを認め、こうして近代ゴルフ史上初の公式競技が開催されることになった。
この競技を運営したのが「エジンバラ・ゴルファーズ協会(The Honourable Company of Edinburgh Golfers)」である。競技にあたってルールを明文化する必要が生じ、13箇条からなる規則が起草された。起草者の名は歴史に残っていないが、その内容は今日読んでも論理的で明快だ。
13箇条の内容
13箇条の主な内容を現代語で要約すると以下のようになる。ボールはティーアップして打つこと、前のホールをホールアウトした場所の近くからティーショットを打つこと、障害物の中にあるボールは動かせないこと——いわゆる「あるがままの状態でプレーする(play it as it lies)」の原則がここに現れている。
また、ボールが打てない場所(水中など)に入った場合の救済規則、他のプレーヤーのボールを動かした場合のペナルティなど、今日のルールブックに連なる概念が既に含まれていた。わずか13箇条で、ゴルフの本質的な問題のほとんどをカバーしている。これは起草者の卓見と言うほかない。
セント・アンドリュース——ゴルフの聖地の誕生
エジンバラから北へ約80キロ。フィフ半島の先端に位置するセント・アンドリュースは、今日「ゴルフの発祥地」として世界中のプレーヤーが巡礼に訪れる地だ。ここに大学(1413年創立)が設立されたことで知識人が集まり、ゴルフ文化が特に花開いた。
セント・アンドリュース・ゴルフ・ソサエティ(後のR&A)が設立されたのは1754年のことだ。エジンバラの規則をほぼそのまま採用し、同様の大会を開催した。しかしセント・アンドリュースが歴史に名を刻んだのは、ホール数の標準化においてである。
18ホールの誕生
18世紀のゴルフコースは、ホール数が施設によってまちまちだった。セント・アンドリュースのオールドコースも、かつては22ホールあったとされる(往路11ホール、復路11ホールの同じフェアウェイを逆向きにプレーする形式)。
1764年、セント・アンドリュースは最初の4ホールを2ホールに短縮した。結果として往路9ホール、復路9ホールの計18ホールとなった。この変更は後に世界中のゴルフコースに波及し、18ホールがゴルフの標準となった。理由として「ウィスキーの瓶1本を1ホールに1口ずつ飲み干すとちょうど18ホールでなくなる」という逸話が伝わるが、これは後世の創作とみられる。
R&Aの権威と世界ゴルフ統治体制
セント・アンドリュース・ゴルフ・ソサエティは1834年、ウィリアム4世から「ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ・オブ・セント・アンドリュース(R&A)」の称号を与えられた。「ロイヤル(王室の)」「エンシェント(由緒ある)」——この称号は単なる名誉ではなく、ゴルフの世界的統治機関としての地位を象徴するものだった。
19世紀後半、ゴルフが世界中に広まるにつれ、統一ルールの必要性がより切実になった。R&Aはイギリスおよびイギリス連邦諸国のゴルフを統治し、1894年に設立されたアメリカのUSGA(全米ゴルフ協会)がアメリカ大陸を管轄するという二頭体制が確立された。
2004年、R&Aはゴルフクラブとしての機能(競技会運営など)とゴルフの統治機能を分離し、「R&A」という別組織を設立。現在のR&AとUSGAが共同でゴルフのルールを管理・改定している。
オールドコースという特別な場所
ルールの話を締めくくるにあたって、オールドコース自体についても触れておきたい。コースはリンクス地形そのものを活かした設計で、人工的な手が加えられた部分は最小限だ。コース内には112個のバンカーが存在し、そのほとんどが名前を持つ。中でも「地獄のバンカー(Hell Bunker)」「ロードホールバンカー」は世界中のゴルファーが恐怖とともに語る存在だ。
ここで全英オープンが初めて開催されたのは1873年。その後も数多くの名勝負が繰り広げられ、コースが持つ歴史の重みはプレーヤーのメンタルにも影響を与え続けている。
13箇条の小さなルールから始まった旅は、今や世界6000万人以上のプレーヤーに共有される一つのゲームの哲学へと育った。セント・アンドリュースは今日も変わらず、その哲学の中心に静かに立ち続けている。