アイルランドのリンクスゴルフに何を求めるか——雄大な景観か、ゲームの難しさか、歴史か、あるいは土地の空気か。バリーバニオンはそのすべてを同時に与えてくれる場所だ。ケリー州の海岸に立つこのコースは、大西洋の波が何百万年もかけて削り続けた断崖の縁に、まるで最初からそこにあったかのようにホールが刻まれている。人間が設計したというより、自然が設計し人間がただ線を引いただけのような佇まい——それがバリーバニオンの本質だ。
ケリー州の海岸に生まれたコース
バリーバニオン・ゴルフクラブの創設は1893年にまで遡る。アイルランド南西部、リング・オブ・ケリーで知られる風光明媚なケリー州の沿岸部に設立されたこのクラブは、当初は地元の名士たちの社交の場という性格が強かった。しかし土地が持つゴルフコースとしての潜在能力は、設立当初から際立っていた。
現在「オールドコース」と呼ばれるチャンピオンシップコースは、1936年にエディ・クリンプによって18ホールに拡張・再設計され、今日見る形に近づいた。ただしクリンプの功績よりも評価されるべきは、設計の「素材」とした土地の選択眼かもしれない。大西洋に面した断崖と、それに続く起伏の激しい砂丘地帯——これほど劇的なリンクスの舞台は世界でも数えるほどしかない。
1995年には「ニューコース」がロバート・トレント・ジョーンズ・シニアの設計で開場した。トレント・ジョーンズは世界に400以上のコースを設計した巨匠だが、バリーバニオンの土地はその彼をして「これまでで最も挑戦的で刺激的な仕事だった」と言わせしめた。二つのコースがそれぞれ異なる時代の設計哲学を持ちながら、同じ断崖と砂丘の上に広がる光景は壮観だ。
トム・ワトソンの「世界最高」という評価
バリーバニオンの名が世界に広まるきっかけの一つは、トム・ワトソンの一言だ。全英オープン5勝を誇り、リンクスゴルフの権威として誰もが認める彼が「世界最高のリンクスコース」と称したことで、バリーバニオンは一躍世界的な注目を集めた。
ワトソンが初めてバリーバニオンを訪れたのは1981年のことで、その後も何度もコースを訪れるほどこの場所を愛した。彼が魅了されたのは、コースの難しさそのものよりも、プレーするたびに発見がある奥深さだったと言われる。風向きが変われば別のコースになり、雨が降れば芝の性質が変わる——リンクスゴルフの本来の姿がここにある、というのがワトソンの評価の核心だった。
ワトソンほどのゴルファーをして繰り返し引き寄せるコースの魅力は、何かを体験させてくれることだけでなく、何かを学ばせてくれることにある。バリーバニオンでは毎ラウンドが勉強だと、そこをプレーした多くのゴルファーが語る。
断崖と砂丘の間を行くホール群
オールドコースの最大の特徴は、大西洋の断崖に沿って展開するホール群だ。特に7番から11番にかけての一帯は、左手に断崖、右手に高い砂丘という回廊をゴルフボールを抱えて歩く体験を提供する。フェアウェイは傾斜し、グリーンは砂丘の上に設けられ、そこへ向かうショットは風次第で全く異なるクラブ選択を要求する。
11番ホール(パー4)は世界で最も美しいホールの一つとして頻繁に挙げられる。断崖の縁に設けられたグリーンへ向かうアプローチは、左側に広がる大西洋の青さを意識しながらの一打になる。風が強ければ実際に「海へ落ちる」ことも珍しくなく、このコースのスコアカードにはアンプレヤブルとペナルティの欄が活躍する。
コースの難易度はコンディションに大きく依存する。無風のバリーバニオンはパーを量産できるコースだが、大西洋からの強風が吹く日には60台のスコアは幻と化す。それがリンクスゴルフの本質であり、スコアよりも経験と教訓を得ることの方が重要だという感覚を、このコースは自然に育ててくれる。
アイルランドゴルフ旅行の必訪地
アイルランドはゴルフ旅行の目的地として近年急速に人気が高まっている。バリーバニオンを筆頭に、ラヒンチ、ウォーターヴィル、リンクス・アット・ダングリーなど世界的名コースが島内に点在し、一度の旅行で複数のリンクスをはしごできる地理的な利便性がある。
バリーバニオンへのアクセスはダブリン空港またはシャノン空港からが一般的だ。シャノン空港からは車で約1時間半、アイルランドの田舎道を抜けながら徐々に大西洋の気配が近づいてくるドライブ自体が旅の一部となる。コース周辺のバリーバニオンの町は小さいが、ゴルファー向けのB&Bやパブが軒を連ね、プレー後のギネスの一杯とともに土地の人々との会話を楽しむことができる。
バリーバニオンを訪れる理由は、単にゴルフをするためではない。アイルランドの自然、文化、そして人々が長年にわたってゴルフと共に生きてきた土地の記憶に触れるためだ。
風と波に削られた聖地
バリーバニオンに「聖地」という言葉が使われる理由は、宗教的な意味ではない。何世代にもわたるゴルファーがここを巡礼地として訪れ、土地が持つ力に圧倒され、また戻ってきた——その積み重ねがある場所に宿る何かを指している。
大西洋が削り続けた断崖は、人間の手が加わる前から存在していた。その上でゴルフが生まれ、育ち、世界中の人間を引き寄せるようになった。風はいつも同じように吹き、波はいつも同じように打ち寄せる。その変わらない自然の前で、ゴルファーは一打一打を懸命に打つ。バリーバニオンの魅力はその永続性の中にある。