「あと1打が縮まらない」——90の壁は、多くのアマチュアゴルファーが経験する、もどかしい停滞だ。練習はしている。ショットの感覚も悪くない。なのに、なぜかスコアが縮まらない。

その理由は、打つ技術よりも「スコアの組み立て方」にあることが多い。ゴルフはスコアを競うゲームだ。どれだけいいショットを打っても、カードに記録されるのは数字だけである。

90という数字を分解する

スコア90は、18ホールを「全ホールボギー」で回ることとほぼ同じだ。パー72のコースであれば、90=72+18、つまり1ホールあたり1オーバーが平均値になる。

この視点を持つことが重要だ。90を切るためには、「全ホールでパーを目指す必要はない」。むしろ、ダブルボギー以上のホールを減らすことの方が効果的である。

ダブルボギーとトリプルが「壁」の正体

スコアが90前後で止まるゴルファーを分析すると、パーやバーディを取っているホールがある一方で、ダブルボギーやトリプルボギーが2〜4ホール混じっていることが多い。

1ホールのトリプルボギーは、別のホールのバーディを完全に打ち消す。スコアを縮めるには「いいホールを増やす」より「崩れるホールを減らす」ことの方が即効性が高い。

崩れるホールにはパターンがある

ラウンド後にスコアカードを振り返ると、崩れたホールには共通点があることに気づく。

  • 池・OBのあるホールでの大叩き:リスク管理を怠った結果
  • ショートホールでの3パット以上:距離感のない強引なアプローチ
  • ティーショット後の焦りから連続ミス:1打目のミスを取り返そうとする心理

この「崩れパターン」を把握するだけで、同じ失敗を繰り返す確率が大きく下がる。スコアカードは試合が終わっても捨てずに、必ず振り返る習慣をつけるべきだ。

スコアカードを「データ」として使う

ホールごとに以下をメモしておくと分析が深まる。

  • フェアウェイキープできたか
  • グリーンオンできたか(何打目で)
  • パット数は何打か

3ラウンド分をまとめると、自分の弱点ゾーンが明確に見えてくる。「アイアンのグリーンオン率が低い」「2パット以内に収まらないホールが多い」など、改善すべき優先順位がはっきりする。

ショートゲームとパットへの集中が近道

ドライバーの飛距離を伸ばすより、30ヤード以内のショートゲームを磨く方が、スコア改善の速度は圧倒的に速い。

18ホールのうち、ドライバーを使うのは多くても14回。一方、アプローチとパットを合わせると、全打数の半分以上を占めることがほとんどだ。

「3打以内にカップイン」を目標にする

グリーン周りからのアプローチで意識したいのは、次のパットを1パットで沈めやすい位置に寄せることだ。ピンに近づけることよりも、次打の難易度を下げることを優先する。

「ピン下2メートル以内に寄せて1パット」が理想だが、それが難しい場面では「パターが打てるエリアに転がし込む」だけでも、大きなスコアロスを防げる。

3パットを撲滅する

スコア90前後のゴルファーの多くは、1ラウンドに3〜5回の3パットをしている。1回の3パットはボギーを「ダブルボギー」に格上げする。

ロングパットは「1.5メートル以内に止める」ことを第一目標にすると、3パットの頻度が大幅に減る。距離感の練習は、練習場よりもパッティンググリーンでの反復が効果的だ。

パーを「取りに行く」のをやめる

逆説的に聞こえるかもしれないが、90を切るための最大のヒントは「パーを取りに行かない」ことだ。

ピンが奥のエッジにある場合、グリーンセンターを狙えばボギーで収まる確率が高い。しかしピンを狙いにいけば、奥のバンカーや深いラフに捕まるリスクが一気に上がる。

「攻めのボギー」は最高のスコア管理だ。意図的にボギーを取りにいき、それを18ホール続ける——これが90切りの現実解である。

まずは「自分のゴルフ」を知ることから

技術の改善に加えて、戦略とメンタルの整理も重要だ。コーチと一緒にスコアカードを振り返り、崩れやすいパターンや判断の癖を整理することで、修正のスピードは格段に上がる。

RICOSのレッスンでは、スイング技術だけでなく、コースマネジメントや戦略的な思考についても一緒に取り組んでいる。「なぜいつも同じホールで崩れるのか」を客観的に分析したい方は、ぜひ一度コーチに相談してみてほしい。